背景
本協議は、全国的な社会問題となっている糸島市における鳥獣被害対策の現状把握と今後の実装方針を整理したものである。
鳥獣被害は農業者だけでなく、地域と生活にも大きな影響を及ぼす重大な課題として認識されている。
被害は農業者申告ベースで把握しており、令和6年の被害額は3,838万6千円、被害面積は15ha。
情報収集は毎年1月、JA豊島・農区町経由の周知、市HP・農業者向けLINEで実施されている。
現状は販売農家が対象で家庭菜園や放置されている果樹などの被害は未把握。
被害は脊振山系沿いの6校区で約50%と偏在する一方で市域全体に広がりを見せており、営農意欲低下や耕作放棄地拡大など数値化しにくい影響も認識されている。
これらの統計上の被害額だけでは測れない二次的・長期的な影響は、地域農業の持続性や景観、環境保全にも波及する大きな課題である。
狩猟免許所持者は189名、平均55歳(糸島市鳥獣被害対策自治体の平均年齢は市職員除くと72歳)で人材確保が急務。
市は、3年間で各校区10名、全市約100名の新規狩猟免許取得者育成と受験・講習費用の全額補助を検討している。
資機材については、イノシシ用1基、アナグマ用5基、サル用5基の箱わな整備予算を今定例会に上程し、将来的に市内約100基の配布を検討。
近隣市とのデータ共有は未整備だが、福岡県は佐賀・長崎と連絡会議を設置し広域的なイノシシ捕獲等を実施。
議員側からは、奥多摩で発足した全国初の鳥獣害対策議員連盟の活動(各自治体の情報共有、大学教授等との科学的根拠に基づいた施策研究、猟友会との意見交換、県や国への政策提言など)を参考に、木下委員が九州鳥獣害対策議員連盟の立ち上げ準備を進めており、研究者・猟友会との連携、県・国への政策提言活用が提案された。
作業項目として、毎年の被害調査継続、家庭菜園・住宅の被害/目撃情報収集スキーム構築、狩猟人材育成と費用補助制度設計、箱わな段階整備、広域データ共有体制構築、議員連盟による広域連携推進を明記。
AI提案では、通報アプリとGISによる見える化、校区単位協議会設置、メンター制度や女性・兼業者のわな猟コース、安全教育の強化、標準レシピ化した箱わな運用、県域でのデータ仕様統一、交付金活用とKPI(被害額30%削減/3年等)設定が推奨された。
Q&A
1. 被害額・被害面積の把握状況はどの程度か
- 被害の把握は各農業者からの申告に基づくため、全てを把握できているわけではない。
- 令和6年の被害額は3,838万6千円、被害面積は15ヘクタール。
2. 現在の情報収集方法は
- 毎年1月にJA豊島を通じて農区町から各農家へ周知。
- 市ホームページおよび農業者向けLINEにより依頼し、調査を実施。
3. 家庭菜園など農家以外の被害把握は行っているか
- 販売農家を対象に調査しているため、家庭菜園分は把握していない。
4. 地域ぐるみ(糸島モデル)での対策に向け、家庭菜園・一般住宅の被害や目撃情報の収集仕組み構築の必要性
- 本定例会で提案された地域住民と一体となった糸島モデルの鳥獣害対策において、地域ぐるみで包括的に対策を実施するためには、家庭菜園や放置されている果樹などの被害状況も把握することが重要である。
- 行政区長からの回覧板、広報、アンケートなどを活用すれば、正確な把握まで難しくとも被害状況や目撃情報を集めることは可能と提案。
- 地域ぐるみでの対策には、家庭菜園や住宅の被害・目撃情報収集の仕組み確立が重要と要請。
5. 被害の地理的偏在と数字に表れにくい影響(営農意欲低下・耕作放棄地拡大)の市の認識
- 被害は脊振山系沿いの6校区で約50%を占め、その他は市域全体に広がっている。
- 営農意欲の低下、耕作放棄地の拡大など数字に表れにくい影響もあると認識。
- これらの統計上の被害額だけでは測れない、営農意欲の喪失、耕作放棄地の増加という二次的・長期的な影響は、地域農業の持続性や景観、環境保全にも波及する大きな課題であり、早急に地域住民と一体となった糸島モデルの確立が求められている。
6. 捕獲人材確保のための市内狩猟免許取得状況・年齢構成
- 市内の狩猟免許所持者は189名、平均年齢55歳。
- 糸島市鳥獣被害対策自治体の平均年齢は、市職員を除くと72歳。
- 地域農家からは「もう自分たちの土地は自分たちで守らないと」という強い思いが語られ、実際に狩猟免許の取得を目指すという意識改革が見られる。
7. 地域農家が狩猟免許を取得し主体的関与する動きへの支援方針と免許取得費用・講習受講費用補助の必要性
- 新たな担い手の確保は、今後の有害鳥獣被害防止対策を進めていく上で必要不可欠。
- 3年間で各校区10名、全市全体で約100名程度の新規狩猟免許取得者を育成する事業を検討中。
- その中で免許取得費用、講習会受講費用についても全額補助する方向で検討を進めている。
8. 有害鳥獣捕獲のための箱わな等の資機材への補助・設置支援
- 議会要望を受け、イノシシ用1基、アナグマ用5基、サル用5基を整備する予算を今定例会に上程。
- 今後の方針として、市内で約100基の箱わなを必要な校区に配布するよう検討中。
- 市としては、有害鳥獣対策を地域ぐるみで実施することおよび新規狩猟免許取得者育成と合わせ、その方法を検討中。
9. 近隣他市とのデータ共有・広域的な連携の状況と見解
- 近隣自治体との被害状況や捕獲数などのデータ共有は現在できていない。
- 福岡県は佐賀県、長崎県と連絡会議を設置し、イノシシの広域区画等を実施している。
- 議員側からは、奥多摩で発足した全国初の鳥獣害対策議員連盟の取り組み(各自治体の情報共有、大学教授等との科学的根拠に基づいた施策研究、猟友会との意見交換、県や国への政策提言など)を参考に、木下委員が九州鳥獣害対策議員連盟の立ち上げ準備を進めており、九州各地の議員が連携し、情報交換や国への政策提言につなげていくことを目的とした広域枠組み活用の提案があった。

